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精心道オフィシャル・ニュースレター
「ピュア・ハート、シンプル・マインド」
Pure Heart, Simple Mind
®

第2巻, 第5号; 2004年3月15日

『学習者としてのアイデンティティ』
Your identity as a learner

このニュースレターは、思いやりと明快さをもって創造的に生きようとする人たちに向けて配信しています。新たに登録された方々に感謝します。seishindo@seishindo.org




【今号の内容】
1. スタート・ライン
2. 学習者としてのアイデンティティ
3. プラクティス

「古い記憶と新しい学び」
4. 関連リンク
5. おすすめ書籍
6. おすすめ音楽
7. エンド・ノート
8. マイル・ストーン
9. 著作権

10. 登録と解除


1. スタート・ライン

「正解を答える」能力が、自分のことを能力があって尊重されるべき個人であると思う総合的な自己感覚と関連している。この重要性に目を向けたことがあるだろうか? 今回の号では、周囲の人との比較で自分の「学習者アイデンティティ」をどんなふうに知覚するようになるかを洞察しよう。

 最近私はひとりの監督者として子どもたちの遊びを見ていたのだが、グループの中で学んだりいっしょに何かをする能力が、いかにアイデンティティの感覚にとって大事かということに気づかされた。
 また大人にとっても、子どもに学習者としての自信と、どの子も社会にとって価値ある存在なのだという自信を与えることが重要だと気づかされた。

 グループの中の子どもたちのやりとりを見ながら、私はよくこう自問する。「いま自分が見ているこのやりとりは、この子たちが大人になったときどんな習慣を形づくることになるんだろう?」
 実際のケースを見てみよう。

 最近、東京のとある学童保育センターに行ったところ、そこでは女の子3人と男の子2人とが、大人のスタッフが出題する算数ゲームで遊んでいた。そのうちの1人の女の子は明らかに他の子よりも正解を出していた。他の子がまだ夢中で指を折って数えている途中に、女の子は回答していた。ほとんどの子にとって‘指で数える’ことは初めてのようだった。これは計算するのになかなか便利な方法だが、必ずしも最速とはいえない。

 初めの2、3問はどの子もゲームを楽しんでいるようだった。やがて5問目になると2人の子どもが見ているだけになり、3人目(男の子のひとり)は叫びながらゲームを中断しはじめ、とてもゲームは続けられない様子だった。全問回答していた女の子は、騒いでいる男の子に怒り出し行儀よくするように抗議した。あっという間に、子どもたち全員がカオスにのみこまれた。

 大人のスタッフは、2メートル半ほどの高さの玉入れ競争へとゲームを切り替えた。すぐさま騒々しかった子どもは喜び、ずば抜けた能力を示した。計算が得意だった女の子は、部屋の隅で泣きべそをかいていた。
 あなたの人生でも思いあたる経験はないだろうか?

 どんな子どもも、どんな大人も、どれほどに騒々しくとも、手におえなくても、利口でも、何かに秀でていても逆に不得手であろうが問題ではない。よい教師、よい専門職、よい親として肝心なのは、現時点ではうまくやれないように見えることに頭と身体の使い方を教えつつ、肯定的な自己イメージが持てるように子どもを援助することである。
 実際の答えそのものを重要視するよりも、答えに至る方法を学ぶ場であったなら、私たちの学校制度はもっと違ったものになっただろう。
 現在進行中の人生において、有益なものでも疲弊させられるものでもどちらでも、学び方を学ぶことは重要である。すべての学習は試行錯誤が必要なのだから、間違えることにもっと価値が置かれるべきだ。誰であっても、強みと弱みの両方を歓迎できるようになる必要がある。私たちは困難さを感じる状況で自分自身を励ましながら、確実に知っていることがある自分を尊重することができるようになる必要がある。


2. 学習者としてのアイデンティティ

 自分のことを「よき学習者」だと思いますか?
 個人としてまた社会の一員として自分自身をどう捉えるかに、この質問は大きなインパクトをもっていると私は確信している。

 レオナルド・ダ・ヴィンチやアルバート・アインシュタインをはじめとする世界の天才たちの多くが、失読症だったのをご存じだろうか? そして世界じゅうで活躍している発明家、起業家、自発的な人たちの多くがADD [注意欠陥障害] であることを? なかなか解明されていなかったけれど、今日読めるようになった(天才たちに関する)「オルタナティブ」な文章をじっくり読むと、彼らの学習のしかたと行動様式をみれば、「学習‘障害’」というレッテルはじつは「学習‘能力’」を示しているということがわかる。

 どの子も歩けるようになるまでには何百回と転ぶ。子どもは転ぶ度に、自信を無くしたりふさぎ込んだりしないことは明らかだ。小さな子どもにとって転ぶことは失敗を意味しない。事実、転ぶ度に彼らは決意を強めていくように見える。初めは能力がない所から、試行錯誤の学習を始めることによってのみ私たちは成長できるのだ。

 精心道のワークショップで、自分たちの学習能力を価値あるものとして受けとる練習をするとき、最終的に、参加した人たちが感銘深い経験をすることは稀ではない。学習能力への見方が変わったくらいで、そう簡単に人々が心動かされるなんて美化されたイメージのようで想像できないかもしれない。しかし、私たちの学習者アイデンティティは、トータルな人間存在として自分をどう感じるかということと強く結びついているのだ。

 小さな子どもと同じように、失敗したり特定の状況で正解を出せないような経験をした後、そのことに関連づけて「下手くそだ」「馬鹿だ」という自己イメージを身につけてしまうことはよくある。
 ワークショップの参加者たちはたいてい、できそうにもないことに対して自分には無理だと声を上げながら始める。それは学習能力に対するまったく不正確な信念だが、それにしても何とパワフルな信念なのだろう! そんな信念を打ち破るために「とにかく立ち上がってやってみて」という励ましを受けて、そして実際に期待以上に成し遂げる彼らの姿はすばらしいものだ。
 与えられた課題を楽勝だと思ってスタートすることは滅多にない。いつも決まって、到底無理だと思いながら始めるものだ。そして自分がやれると思った以上のことができたときの喜びの涙を何度も私は目にしてきた。感動的だった最近のワークショップのひとつを紹介したい。

 50代後半の女性が、学習スキルをのばすワークショップに参加してくれた。約1時間ほど全員にジャグリング(お手玉)の手ほどきをした。最初、彼女はやってみようともせず即座に言った「私、まるで不器用だからとても無理!」。私たちはそのプロセスをゆっくり見せ、‘ドロップ(落下)’と呼ばれるジャグリングでもっとも重要な最初のステップを彼女に教えた。1つの玉を投げ上げたら、それを意図的に落っことす。そして自分にお祝いを言うのだ! 自分を祝うこのステップはほんとうに重要なのだが、最初その女性は、落として自分を祝うという考えに困惑しているようだった。ところが実際に起こったことは、彼女に玉を落としてもらうことができなかった。つまり彼女はちゃんと受け止めつづけたからだ。あたかもそれは、落とすように教わっても「そうしない」ことで彼女は自分が馬鹿であるのを証明しようとしているかのようだった。しかし学び方がどうであれ、おかしなことにそうやって受け止めつづけることが、結果的には彼女にジャグリングの能力があることを明らかにしつつあった。30分ほどすると、彼女は簡単な3つの玉を使ったジャグリングができていて、本人は有頂天だった。ワークショップの進行をいったんとめて休憩に入ったとき、彼女は声を上げた「わぉー、今なら私ダンスだってできるかも!」。そこにいたグループの中の青年のひとりが立ち上がり、おじぎし、彼女の手をとった。何かしらふさわしい音楽がかかり、あっという間に彼女はダンスを始め、至上の喜びを味わうかのように楽しんでいた。ここ精心道のクラスの中で。

 音楽がやみ、彼女は皆に感謝の言葉を言い終えた後すぐに泣きはじめた。しばらく時間をおいてから「一体どうしたの?」と私は穏やかに訊いた。彼女は農場で育ったそうだ。農場のきつい仕事はどうしてもやらなくてはいけないものだった。彼女の仕事のひとつは、ミルクをしぼって絶やさないように、家の中に運び入れることだった。遅くまで遊びすぎたある日、ミルクをしぼり終えた時には真っ暗な夜になっていた。家に向かってバケツを運んでいたら、つまずいて転んでミルクをぶちまけてしまい、父親は激怒した。翌日、かろうじてミルクをしぼれるくらいに彼女は神経質になっていた。やっとの思いでしぼり終え、非常に慎重にバケツを運んでいるとき、離れた所から父親が叫んだ。気をつけろ! 父親が何と言っているのか聞き取ろうとして振り返ったとき、足がもつれて再びミルクをひっくり返してしまった。今回、父親は怒り心頭に発して言った。何もできないほんとうにドジな奴だ。たとえ彼女と結婚するような馬鹿が見つかったところで、自分の婚礼のダンスも踊れやしまい、と。現実に結婚したとき披露宴のダンスを彼女が断ったので、誰もがどうしてだろうと訝しんだ。
 彼女は涙ながらに語った。50年近く経ってこれを話すのは初めてで、再び少女にかえったように感じる。今までの分を取り戻すようにこれからはたくさんダンスができる、と。

 自分の学習者アイデンティティを振り返って見るために、子どものときにさまざまな大人から自分は何を学んだかに目を向けることは重要だ。不器用な人間だと教えられただろうか? 学習は複合的で実りの多いプロセスだと教えられただろうか? あなたの学習スタイルはユニークで素晴らしいものだと教えられただろうか? 学習するにはその過程で体験と失敗することが求められる。失敗なくして学習はできない。
 もし、学習者としての自分を信じないなら、取り組んでいる課題や人前での活動をうまくやることは難しい。自分の失敗を歓迎しないなら、大事なゴールを達成して喜ぶことはなかなかできないだろう。もしフライング・スタートやつまずきを価値あるものとして受けとめないなら、自分のハートが求めるゴールまであきらめずに完走するのは難しい。

 世界の子どもたちの未来は「よき学習者なのだ」という自己イメージにかかっている。成長していく中でその自己イメージを強化できるか、それとも砕いてしまうのか。それはあなたの子どもかもしれないし、地域の子ども、あるいは大人であるあなたの内なる子どものことかもしれない。
 私たちは互いにユニークな才能と能力を認識しあい、それをどんなふうにいろんな問題やグループに対して適応させていけるかを見つけていく必要がある。1つの主題を学ぶにも数えきれない方法があることを認識しなければならない。
 それぞれの失敗を、自分の学び方を学ぶよい機会へと転換し、そして自分がもつ輝く才能を 隠さずに前面に出して生きる必要がある。

 学習は自己表現の創造的な行いだ。すべての重要な成功には何回もの出だしのつまずきと失敗が含まれている。あなたは独自性も有能さも持っている。これを読んでいる誰もが、日常生活の中でもっともっと、この真実を経験してほしいと思う。


3. プラクティス「古い記憶と新しい学び」

「古い記憶と新しい学び」“Old Memories, New Learnings”
 自分が過去に身につけた否定的な学習者意識ではなく、より肯定的な学習者イメージを獲得するために、このプラクティスはとても役に立つ。


4. 関連リンク

Mid Atlantic Center for Healing
 友人であり精心道のサポーターのSusan Houghによって運営されているサイト。個人としてまた専門職としての成長を促進すために、幅広いセラピーとヒーリングで人々の力になっており、また自分でもヒーリングを学びたい人のためのプログラムも設けられている。


5. おすすめ書籍 by Charlie Badenhop

「ディスレクシアなんか怖くない!
 ―家庭でできる読み書きLD(学習障害)解決法」
ロナルド・D. デイビス [著]、品川裕香ほか [訳]

"The Gift of Dyslexia" by Ronald Davis
This is a wonderful book that will help you to understand much more about “the gift of dyslexia” and how we can each learn to work with and expand upon our unique learning abilities. I believe this book is important for anyone that wants to understand more about themselves as a unique learner, and it is particularly meaningful to read if you consider yourself or someone you know, to be dyslexic.



6. おすすめ音楽

CD:“Sacred Treasures I”
This CD features a powerful Russian male choral group. It is soothing, serene, and ethereal. With a good sound system you really get the sense of being in the cathedral listening to their performance. We often use this CD in Seishindo workshops.
If you are thinking about purchasing this CD notice that there are now several versions out (I, II, and III). This is the only one of the three that I have experience with.



7. エンド・ノート

John Nolanさんのコメント:
「あなたの帰りがわかる犬―人間とペットを結ぶ不思議な力」
 ルパート・シェルドレイク[著]、田中靖夫[訳]
“Dogs that know when their owners are coming home and other unexplained powers of animals” by Rupert Sheldrake
 これはすばらしい本です。このタイトルはニュースレターに書いてあった話そのものですね。人間と動物の不思議な絆が示されています。それともう1冊。

“Mind Wide Open” by Steven Johnson.
 著者のジョンソンは、自分の心をMRIからバイオフィードバックまでの最新の神経学技術を用いてテストし、愛に関する一般的なセオリーを支持し裏付けるような魅力的な発見を語っています。

John さんありがとう!

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 あなたからのメール歓迎します。
a) 記事に関する質問やコメント
b) プラクティスで経験したこと
c) 精心道コミュニティにふさわしい書籍/音楽/サービス/製品など。それについての短い紹介文をつけてください。お名前を載せてもよいか知らせてください。情報は大切に取り扱います。seishindo@seishindo.org


8. マイル・ストーン

Sharry Teague さんからのお知らせ:
 高校のスクール・カウンセラーを引退してから、親たちを励ますことをやりたいと思ってきました。卒業年度は子どもと親の両方にとって難しい年です。最近、私は18頁ほどの小冊子を完成させました。「卒業のための処方箋。卒業年度を勝ち抜く親のためのクイック・ガイド」がそれです。ウェブ・サイトでサンプルが見られます。

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 あなた自身(またはグループ)のマイル・ストーン [画期的な出来事] を教えてください。 卒業、結婚、出産、訃報、新規ビジネス等、精心道コミュニティにふさわしいニュースを歓迎します。seishindo@seishindo.org

9. 著作権

 発行者の許可なく転載、複製はできません。一部を除き、当ニュースレター「ピュア・ハート、シンプル・マインド」のすべての内容は、チャーリー・バーデンホップが執筆、編集しています。
Charlie Badenhop © All rights reserved.


10. 登録と解除

 ニュースレター(英文)の登録と解除は、下記のURLで受付けています。原則的に月2回の発行です。
http://www.seishindo.org/newsletter.html

 ワークショップ「東京クラス」のスケジュールは、下記のページでご確認ください。www.seishindo.org/japanese/tokyo.html

日本語訳:下尾崎 勉プロフィール

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