このエクササイズは、野口晴哉(ハルチカ)先生が実践された野口整体を基本とし、そこからいくらか私自身が発展させたものだ。
身体に過剰なエネルギーを蓄えてしまう傾向が誰にでもあり、そのために身体が自然にバランスを保とうする力が抑制されてしまう、と野口先生は語る。身体的にも感情的にも心理的にも健康になろうとする自分の能力が、知らないうちに余剰エネルギーによって妨害されるのだ。
このことは、身体的コミュニケーションの癖をつくり出し、自分の能力の限界をつくり出だすことになりかねない。多くの人が、自分の身体とフルにコミュニケートする能力を失い、身体の状態に十分気づく能力を失っている。身体とコミュニケートするパターンは、言葉によるコミュニケーションのパターンとつながっている。自分の身体とのコミュニケーション能力や気づきが抑制されることは、言葉によるコミュニケーション能力と言語的な気づきも抑制され、とうぜん健康状態全般にも影響を及ぼす。
最大限に自分の身体とコミュニケートする能力を体現し、身体の状態に気づく能力をのばそう。言葉によるコミュニケーション能力をのばし、自分が感じていることを‘理解’できるようになろう。
言葉による人とのコミュニケーションを
理解するための前提:
1) 自分の身体とのコミュニケーションを活気づいたものにする
2) 他者が自ら行っている身体とのコミュニケーションを理解する方法を学ぶ
野口晴哉先生が残された2冊の著作は、どちらも英訳されている。「整体入門(Order, Spontaneity and the Body)」「風邪の効用(Colds and Their Benefits)」。整体入門が先生の神髄だろう。先生の言葉によると、活元運動の目的は、本人が動かそうと思って動かすのではない身体じたいに備わった、偏りを自動調整する能力を活性化することにある。
PART I (邪気の吐出)
1) 正座またはイスに浅く腰かける。
自分が動きたいように身体のあちこちをいろんなふうに動かす。頭と首と腕をぐるぐる回す。胴体を前後にゆする。筋肉を緊張させたり逆にだらりと緩めたりする。自分が動ける無理のない範囲で動かそう。背骨と首と頭が天井に向かって広がるのを感じよう。自分が世界のてっぺんに座っている感じを味わう。しっかりと呼吸を感じる。そこから見えるもの、聞こえるもの、感じることに気持ちをむける。どんな音であれ、そのときの自分にあった音や声を出す。
2) 両手の指で胸骨の下に触れる(胸骨はろっ骨の一番下。ろっ骨の真ん中。鼻とヘソを結ぶ直線とろっ骨の一番下とが交差する点) 。一方の手で、胸骨から下へ指3本分の幅のところにあるいくらかやわらかい部分に触れる。ここが太陽神経叢だ(俗にいうみぞおち)。もう一方のひとさし指、中指、薬指で、先の手に重ねる(科学的に正確かどうかよりも自分がいいと感じることが大切)。
3) 手をその位置のまま、鼻から深く息を吸い込む。自分のお腹までいっぱいにするつもりで吸い込もう。次に身体を曲げながら、ハァァァという音とともにゆっくりと、口から全部残らず空気を吐き出す。前方に身体をこごめながら、手でみぞおちを可能なかぎり強く深くしっかりと押し込む。
4) 一度全部吐き切ったら、身体は曲げたままで急に指と全身の力を抜く。
5) 同じ姿勢のまま楽に呼吸する。15〜20秒そのままにして、その後まっすぐに座りなおす。
6) 3、4、5のステップを4〜5回くり返す。くり返すうち、太陽神経叢がやわらかくなり、よくあくびが出る。
PART II (上体ひねり)
1) ひざの上に両手を置く。
ゆっくりと胴体と頭を可能なかぎりねじる。自分の背骨を見ようとするみたいに、目もいっしょに後ろへ向ける。
2) 最大限ねじりきったところで、急に完全に力を抜き、もとの正面を向いた姿勢にもどる。
3) 反対側にも同じようにねじってから、15〜20秒楽に座る。呼吸と、見えるもの、聞こえるもの、感じることに気持ちを向ける。
4) 上のプロセスぜんたいを4〜5回くり返す。
5) 少し時間をとって、呼吸している感じと、見えるもの、聞こえるもの、感じることに気持ちを向ける。
PART III (スウィング)
1) 前と同じねじりの動きを数回行う(目もしっかりグルッと回すこと)。
2) 今回は、いくぶんはずみをつけて頭と胴体をひねり、ねじる方向へ両腕もはずみをつけて回す。
3) 最大限ねじりきったら、すかさず反対側へもはずみをつけて身体をひねる。
4) 反対側も最大限ねじりきったら、急に完全に力を抜き、もとの正面を向いた姿勢にもどる。
5) 鼻から大きく息を吸い込み、口から吐く。3回くり返す。一拍、間をとった後、上のプロセスぜんたいを4〜5回くり返す。
6) 全部が終わったら、完全に力を抜いて座る。見えるもの、聞こえるもの、感じることに気持ちを向ける。自分の呼吸をしっかり感じとる。
PART IV
(上体そらし)
いったんやり方が分かれば、以下のステップをひとつの連続した動きとして行う。
1) 両手とも親指を中に入れてこぶしをつくる(何かを殴るためのこぶしではない)。
2) 鼻から息を吸い込みながら、両腕を90度に曲げたまま肩の高さまで上げる(いわゆるガッツポーズ)。
3) 奥歯をかみしめ、全身を緊張させながら(顔の筋肉とおしりの穴も)、ハァァァという音とともに口から息を吐き出す。上げた両腕と頭を後ろへ強くそらす。肩甲骨どうしを後ろでくっつけるつもりでそらす(力を込めるときふつうは息を詰めるものだが、それとはアベコベに、息を抜きながら全身を緊張させるのがここでのポイント)。
4) 最大限そらしきったら、急に完全に力を抜く(崩れ倒れないように)。自分の呼吸をしっかり感じとる。
5) 少しの間、見えるもの、聞こえるもの、感じることに気持ちを向ける。それから、上のプロセスぜんたいを4〜5回くり返す。
6) 終わったら目を閉じて座り、呼吸に気持ちを向けながら、どんなふうであれ身体が動くのにまかせよう。
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1) ゆっくりと目を開け、お腹にまで空気を満たすつもりで大きく息を吸い込み、再び鼻から吐き出す。3〜4回くり返す。
2) 聞こえるもの、見えるもの、感じることに深く気持ちを向ける。